10月30日、OpenAI、Google、Microsoft、Anthropicの4社が、ひとつの共通ルールを支持すると発表しました。サイトの運営者が「この文章をAIの学習に使わないでほしい」という意思を、1か所の書き方でまとめて伝えられるようにする仕組みです。
会社のホームページを持っている会社なら、どこにでも関係する話です。それでいて、社内で誰が決めるのかがはっきりしていない話でもあります。
このコラムでは、何が変わるのかと、設定を触る前に会社として決めておきたい3つを整理します。
【判断の材料】OpenAIは2026年10月30日の発表で、サイトがAIの学習への利用について意向を示すための、robots.txtの共通の書き方を尊重する方針を示しました。対応は「今後数か月以内」を目指すとしています。これまでの設定方法は置き換えず、引き続き有効だと明記しています。
そもそも、AIはサイトを読みに来ている
サイトには、人だけでなく、ロボットも毎日のように読みに来ます。検索エンジンの巡回ロボットに加えて、ここ数年はAI企業の巡回ロボットが増えました。
当社のサイトの記録を見ても、直近の1週間でOpenAIの巡回ロボットが学習用と検索用を合わせて28回、Anthropicの巡回ロボットが6回、ページを読みに来ていました。小さな会社のサイトでも、AIからはしっかり見られています。
巡回ロボットに「ここは読まないでください」と伝える場所が、サイトに置く robots.txt という設定ファイルです。これまでは、AI企業ごとにロボットの名前を調べて、1社ずつ書き分ける必要がありました。
今回の共通ルールでは、学習に使わないでほしいという意思を、1か所に書けば参加する各社に伝わるようになります。
【判断の材料】共通の書き方は、インターネットの技術標準を話し合う団体IETFの作業部会で検討されているものです。各社の対応時期はそろっておらず、報道ではAnthropicが先行して対応を始め、MicrosoftとGoogleは2027年からとされています。
気をつけたいのは「断る」と「出ない」の違い
ここで混ざりやすいのが、次の2つです。
- AIの学習に使われること
- AIの回答や検索結果に、自社のページが出てくること
最近は、ChatGPTのようなAIに質問すると、Webを調べて出典つきで答えてくれます。このとき読みに来るのは、学習用とは別の、調べもの用のロボットです。OpenAIは、学習用と検索用でロボットを分けています。
つまり、学習は断りつつ、AIの回答には出してもらう、という選び方ができます。逆に、ロボットの名前を確かめずに一括で止めると、AIの回答に自社が出てこなくなるおそれがあります。
お客様が、取引先を探すときにAIに聞く。そういう場面は、これから確実に増えます。断るなら、何を断るのかを分けて考えることが大切です。
【判断の材料】OpenAIの開発者向けの説明では、学習用の巡回ロボット(GPTBot)と、ChatGPTの検索結果に表示するための巡回ロボット(OAI-SearchBot)は別の設定で、それぞれ独立して許可・拒否できます。検索用を拒否したサイトは、ChatGPTの検索の回答に表示されなくなると明記されています。今回の共通の書き方は、学習への利用についての意思を伝えるためのもので、読みに来ること自体を止める仕組みではありません。
設定の前に決めておきたい3つ
技術の話に見えますが、決めるべきことは方針です。次の3つを、先に社内で決めておくと迷いません。
1.自社の文章を、AIの学習に使われてもよいか
コラムや事例紹介に力を入れている会社ほど、悩むところです。
- 広く知ってもらうことを優先して、学習も受け入れる
- 自社の文章や事例は、学習には使わせない
どちらが正しいということはありません。ただ、決めないまま放っておくと、制作会社の初期設定がそのまま会社の方針になります。
2.AIの回答や検索には、出てきてほしいか
多くの会社にとって、答えは「出てきてほしい」だと思います。そうであれば、検索用・調べもの用のロボットまで止めていないかを確かめます。
学習は断る、検索には出る。この組み合わせにするなら、設定の書き分けが必要です。
3.サイトの設定を、誰が触れるのか
実は、ここで止まる会社が一番多いのではないかと思います。
- サイトを作った制作会社しか触れない
- 担当者が辞めて、誰も分からない
- サーバーの契約者と、サイトの管理者が別
方針を決めても、変える手段がなければ動けません。まずは、自社のサイトの設定ファイルを誰が変えられるのかを確かめておくのがおすすめです。
今週できること
大がかりな作業は要りません。次の3つを、ホームページの担当者と話してみてください。
- 今の robots.txt に、何が書かれているか
- AIの学習と、AIの検索を、それぞれどうしたいか
- 設定を変えるとき、誰に頼めばよいか
各社の対応はこれから順に始まります。慌てて設定を変えるより、方針を決めて、変えられる状態にしておくことが先です。
当社では、自社サイトとAIの付き合い方の整理から、社内ルールの決め方まで、無料でご相談をお受けしています。「うちのサイトは今どうなっているのか」を一緒に確かめるところからでも、お気軽にお声がけください。
参考資料
OpenAI「AI 学習への利用意向をウェブサイトが伝えやすくする仕組み」 ↗
OpenAI「Overview of OpenAI Crawlers」 ↗
情報確認日:2026-11-02
